アルファ値(α)

アルファ値(α値)は、ある証券に対する投資家の「予想投資収益率(期待投資収益率)」と資本資産評価モデル(CAPM)による「均衡期待投資収益率」の差をいいます。
これは、マーケット(市場)において形成される証券価格の「歪みを表す尺度」として利用されます。

通常、投資家の予想投資収益率は、配当割引モデルなどを使って推定され、一方で均衡期待投資収益率は、CAPMの公式から得られる証券市場線上の当該証券のベータ値に対応する座標から推定されます。
この考え方では、証券市場が価格形成に関連する情報処理において効率的であり、証券の価格形成がCAPMに基づいていることを前提としています。

例えば、本数値がプラスの場合、投資家の予想収益率が均衡収益率を上回っており、証券価格が過小評価されていること(買いシグナル)を表しているのに対して、逆に本数値がマイナスの場合、投資家の予想収益率が均衡収益率を下回っており、証券価格が過大評価されていること(売りシグナル)を表しています。

また、アルファ値(α値)は、ある証券(銘柄)に投資を行う場合に、ベンチマークを上回る収益率(超過リターン)を得るための源泉のうち、その銘柄固有の特性に基づく部分をいうこともあります。
これに対して、超過リターンを得るための源泉のうち、市場全体の変動に基づく部分はベータ値(β)と呼ばれます。