地政学リスク
地政学リスクは、「地政学的リスク」とも呼ばれ、ある特定地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、地球上の地理的な位置関係により、その特定(関連)地域の経済、あるいは世界経済全体の先行きを不透明にすることをいいます。
また、地政学とは、地理的な位置関係が政治や国際関係に与える影響を研究する学問をいい、2002年9月に米国のイラク攻撃に対して、FRB(米連邦準備理事会)が本用語(地政学リスク)を使用して以来、市場(マーケット)でも幅広く認識され、使用されるようになりました。
一般に地政学リスクの二大要因として、「地域紛争の勃発」と「テロの脅威」が挙げられ、経済がグローバル化する中で、そのリスクは全世界的に影響を及ぼすことが多くなっています。
現在、具体的な対象としては、中東のイスラム国問題、イランとアラブ諸国との対立、パレスチナ紛争、リビア内戦、アフガニスタン内戦、カシミール紛争、ロシアとウクライナの対立、中国の海洋進出、北朝鮮の核開発問題、世界各地で多発するテロ問題などがあり、これらに関して大きな出来事が起こると、世界のマーケットにも大きな影響を及ぼすことがあります。
特に中東関連の危機では、原油価格や株式相場、為替相場などの経済的変動を引き起こし、国際経済や企業活動などに影響を及ぼす不安定要因となることが多いです。
また、日本に身近な北朝鮮の動向は、世界的なインパクトを与えることはあまりないですが、日本や韓国、中国などの東アジア地域では大きな不安定要因であり、時として本地域のマーケットに大きな影響を及ぼすことがあります。
なお、資産運用において、地政学リスクは、予測が非常に難しく、ある日突然リスクが顕在化して、マーケットの流れを大きく変えることがあるので、日々の国際情勢の動向には注意が必要です。