円キャリートレード
円キャリートレード(円キャリー取引)は、「円借り取引」とも呼ばれ、相対的に金利が低い円資金を借り入れ、その資金を外貨に転換して運用する取引のことをいいます。
また、キャリートレードとは、「金利の低い通貨で調達(借り入れ)した資金を、外国為替市場で金利の高い他の通貨に交換し、その高金利で運用して金利差収入等を稼ぐ取引」のことをいい、通常、高金利通貨に転換した後に向かう先は、単にその通貨で持つ以外に、外国債券や外国株式、コモディティ、海外不動産など多種多様となっています。
また、これ以外にも、実質的に(広義に)キャリートレードと分類されるものがいくつかあり、例えば、低金利通貨建ての資産を持つ人が、そのまま低金利で運用するよりも低金利通貨を売って、高金利通貨を買って高金利で運用したり、また高金利通貨建ての負債を持つ人が、そのまま高金利通貨で資金を借り入れる代わりに低金利通貨で資金を借り入れ、高金利通貨に交換して負債を手当てしたりするといった方法なども挙げられます。
一般に円キャリートレードは、世界の中で日本円が長期間にわたって低金利の水準にある状態を利用して行われており、その主な担い手は、国内外のファンドや金融機関、個人投資家などとなっており、また日本の個人投資家については、外国為替証拠金取引のレバレッジを効かせた「円売り・外貨買い」が身近な例ですが、広義には外貨預金や外国債券、外国投資信託などの運用も含められることがあります。
通常、円キャリートレードでは、借入通貨である円の金利と投資通貨である外貨との金利差が収益となる以外に、運用される投資商品の収益が上乗せされるため、収益性は非常に高くなります。
その一方で、為替や金利、株式などの相場動向によっては、運用がうまくいかなくなることもあり、その場合は急速に取引が解消されることもあります。
以上のような特色から、円キャリートレードは、マーケットが世界的に安定していて、リスクを十分に取れる環境でないと行うことができないと言えます。
※2008年の世界的な金融危機の際には、大きな巻き戻しがあり、多くの投資家が多額の損失を被った。