システミックリスク

システミックリスクは、ある所で発生した決済不能が次々と広がって世の中に混乱を及ぼす可能性のこと(リスク)をいいます。
これは、一つの金融機関の支払不能や決済不履行等や、特定のマーケット(市場)または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及することを指します。
特に決済システムの要である銀行間決済の場で決済不能が発生すると、それが連鎖的に広がって多数の銀行が決済不能になると共に、それらの銀行を利用して行われるはずであった多くの個人や企業などの決済も出来なくなる可能性があることから、その影響は格段に大きいと言えます。

今日の金融システムでは、取引に参加する個々の金融機関等が決済ネットワークにおける資金決済を通じて相互に網の目のように結ばれているため、一箇所で起きた支払不能等の影響は、決済システムや市場を通じて、即座にドミノ倒しのように波及する可能性があります。
また、システミックリスクには、金融システム全体を一気に麻痺させ、崩壊させる危険性があるため、金融危機が起こった際には、これをいかに早く回避するかが金融当局の最優先事項となります。実際に2008年に起こった世界的な金融危機では、深刻なシステミックリスクに見舞われ、世界の金融市場が大きな混乱に陥りました。